三越伊勢丹グループは、みなさまに「新しい季節の到来」をいち早くお伝えいたします。世界で活躍するバレエ・ダンサー、オニール・八菜の「季節のダンス」とともに二十四節気と季節のことばをお届けいたします。「節気を感じる百貨のかたち」は、みなさまが季節を楽しむ日々をより豊かに彩ります。

   「芒種(ぼうしゅ)」の「芒」は、稲や麦などイネ科の植物の実の先端にあるトゲのような細い毛を指します。「芒種」とはそんな「芒(のぎ)」を持つ穀類の種を蒔くのに適した時期をいうのですが、実際には、麦は刈り取り終わり、田んぼでは田植えのときを迎えます。「芒」は「禾(のぎ)」と同じ。そう、漢字の「のぎへん」と同じでもあるのです。
    そろそろ、梅雨に入ろうかというこの時期、昆虫の世界では、カマキリが生まれる頃でもあります。七十二候では、ズバリ「蟷螂生(かまきりしょうず)」。「拝み虫」というのは、このカマキリのこと。獲物を狙うとき、あるいは敵を威嚇するときに、2本のカマをもたげて、胸の前でファイティングポーズをとっている姿が、拝んでいるように見えるところから名付けられたものとか。おもしろいことに、このネーミング、日本に限らないのです。学名の「Mantodea」はギリシャ語で「預言者」の意。英名でも「Praying Mantis」つまり「祈り虫」。国は違えど、似たようなイメージを持つってことでしょうか。稲や野菜には被害を与えることなく、害虫を退治してくれる面もある。だから、七十二候にまで取り上げられているのかもしれません。
   「蟷螂生まる」は夏の季語ですが、親の蟷螂は秋の季語だそう。季語の世界は細やかですね。

   しとしとと雨が降る日は、気分が落ち込みがち。気のせいか、体調もいまひとつスッキリしない。そんな日は、目がパチッと開くような、身体がシャキッとするような、冷茶を一服いかがでしょう。玉露や上質の煎茶を、氷を入れた冷水でじっくり水出しして、紫陽花柄のグラスに注ぎます。細長い形も、掌にすっぽり収まるコロンとした形も愛らしい。
   冷水で淹れることで、うまみがぐっとアップしていますから、少しずつゆっくり味わってみてください。ほら、肩の力が抜けていくような気がしませんか。
   グラスの縁がぽってり厚いのもリラックス効果大。思わず「はぁっ」と息が漏れます。お茶こそ、何にも勝る清涼飲料水なんですね。

タンブラー(奥)福寿園 3,564円/和グラス(手前)福寿園 2,700円:日本橋三越本店 本館5階 和食器

   梅雨入りの頃になると、青梅が出回り始めます。「そうだ、梅酒を漬けよう」という方も多いと思います。青梅には、微量ながら有毒成分が含まれるため、毒性を抜くため梅酒にしたり梅干しにしたりして食すのが知恵でした。そんな自家製加工品の中で、もっとも手間がかかるのが「梅肉エキス」かもしれません。青梅をすりおろして搾った汁を、何日もかけてじっくり煮詰め、ペースト状にしたものです。
   ほんのひとなめするだけで、シャキンと目が覚めるくらい、パワフルな梅肉エキス。江戸の昔から、「元気のもと」として親しまれてきました。それが製品になって買える。実はこれ、ありがた〜い話かもです。

古式梅肉エキス170g 梅丹本舗 7,128円:伊勢丹新宿店 本館6階 時の場

   一筆啓上。
   あまりの雨に、出かける気が失せた休日は、書こう書こうと思っていたお礼状や、ご無沙汰を詫びる手紙をしたためるのも一興。 
   耳にやさしい音楽を聴きながら、落ち着いて机に向かう。相手を思い浮かべながら手紙を書くひとときは、心豊かな時間に違いありません。梅雨どきらしい、紫陽花柄のレターセットを見つけたら、さらに気分は上がります。できれば、ボールペンやサインペンではなく、万年筆で書いてみてはいかがでしょう。より気持ちがこもるはずです。
   字は体を表す。書は人なり。字の上手下手は関係ありません。自分らしい文字で、自分らしい表現で、のびのび書くのが一番です。

レターセット 嵩山堂はし本 1,944円/万年筆 ステッドラー 21,600円:
日本橋三越本店 本館5階 ステーショナリー

写真:本多康司   文:渡辺紀子