三越伊勢丹グループは、みなさまに「新しい季節の到来」をいち早くお伝えいたします。世界で活躍するバレエ・ダンサー、オニール・八菜の「季節のダンス」とともに二十四節気と季節のことばをお届けいたします。「節気を感じる百貨のかたち」は、みなさまが季節を楽しむ日々をより豊かに彩ります。

     太玄斎(たいげんさい、常陸宍戸藩の第五代藩主・松平頼救の号)が江戸時代に著した「こよみ便覧」によれば、二十四節気の〝小満〟は「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」ときだそうです。あらゆるものが生長し、天地に満ち始める時期。青葉の緑がぐっと深まり、麦の穂が実る「秋」もこの頃です。秋といっても稲刈りの秋ではなく、麦刈りの秋。ここでいう「秋」は、季節ではなく、収穫期を意味する言葉です。
     麦の秋は、地域によって、また年によっても違いますが、沖縄は4月中旬から下旬にかけてが麦刈りの時期。沖縄の梅雨入り前に刈り取ってしまうそうです。西日本では5月下旬から6月頭頃、北海道が収穫期を迎えるのは7月から8月になります。夏の季語でもある「麦嵐」は、実った麦畑を吹き渡る気持ちのいい風のこと。麦の穂がさやさやと波打つ風景を想像しただけでも、爽やかな気持ちになりますよね。
     麦の秋と聞いてすぐに思い浮かぶのが、小津安二郎の映画「麦秋」。久しぶりに見てみるか。原節子、久々だなぁ。いや、青かった時代を思い出しながら、JD・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読み直してみようか。いやいや、それより、風に吹かれて散歩のほうがいいかな。なんて考えながら、五月晴れの空をぼーっと眺めるのがいいかもしれませんね。

写真:前 康輔   文:渡辺紀子

     最近、小麦ヌーヴォーという言葉をよく耳にします。ボジョレー・ヌーヴォーはワインですが、小麦ヌーヴォーは「新麦」のこと。桜前線のように麦の収穫期が北上していき、各地でヌーヴォー収穫祭が開かれます。
     小麦と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはパン。香川県の方はダントツでうどんでしょうが、パンも負けてはいません。
     パンといえばバター。控えている方も多いかと思いますが、薄く滑らかに塗れるバターナイフがあれば、罪悪感も少しは減少するかもしれません。木製ならば、手へのあたりもやさしいし、パンにもやさしいように思います。ただ、使いやすいからって、ついつい塗りすぎないようご注意を。

メープル バターナイフ 648円:
伊勢丹新宿店 本館5階 キッチンダイニングデコール/日本橋三越本店 本館5階 和食器

     何ともいえない涼しげな表情を持つこの御召、その名の通り、風通しがよいのが特徴。経糸・緯糸とも、表と裏で異なる色糸を用い、特殊な二重組織で袋状に織った「風通織」の御召で、まるでリバーシブルのように、表と裏の文様が反対の配色になります。単衣仕立てなら、麦嵐のような風が吹いて裾がはらりと翻ったときに、チラリと裏の色が見えたりする。何とも粋な演出が自然と出来るのも強みです。さらりとしているので、肌にはりつかず、からだのラインが出にくいのもありがたいところ。風を含んで涼しく軽いのも、「風通御召」ならでは。
     夏でも、そして男性でも、おしゃれにきもの。この生地なら、いけそうですね。

風通御召(ふうつうおめし) 矢代仁 302,400円:日本橋三越本店 本館4階 男のきもの

     グラノーラが日本で広く知られるようになったのはいつ頃だったのでしょう。きっかけは、2010年に日本初のシリアル専門店が誕生したときからのよう。グラノーラは、オーツ麦やライ麦などにナッツや蜂蜜を加えて混ぜ、オーブンで焼いたもの。カロリー控えめ、でもミネラルたっぷり、栄養価も豊富なことから、ヘルス・コンシャスな人たちの間で、人気を呼んでいったようです。最近では、朝食カフェなどのメニューでも、グラノーラを見かけるようになりました。パンもいいけど、グラノーラもね。たまには、フルーツ、グラノーラ、ヨーグルトの朝食、いかがでしょ。この「あかねグラノラプレミアム」は熊本産の大麦を使用しています。

あかねグラノラプレミアム 大麦 アーモンド 940円:銀座三越 地下3階 グロッサリー

写真:本多康司   文:渡辺紀子

     季節は立夏へと向かう頃、美しい麦畑を求めて熊本・玉名へ。ミナミノカオリという品種の小麦を育てる畑にうかがいました。青々と立派に育った小麦は、6月上旬の収穫を待つばかり。そんな中、もっとよい小麦に育て上げようと追肥をする生産者の川上さんは、タンパク質を上げていくことが大事だと教えてくれました。麦の高さが綺麗に揃った畑では、生産者の田端さんが白いベストで麦の様子を見ていました。麦の高さを揃えるには6回も麦踏みをするのだといいます。収穫に近づく頃、小麦畑は美しい黄金色に彩られるそうです。「強い風は、午後からのほうが多いよ」と笑いながら田端さんが教えてくれました。みなさん、ありがとうございました。